霊柩車について


 霊柩車とは、遺体の搬送を行う自動車のことで、寝台車との役割との違いから「遺体を納めた棺を葬儀会場から火葬場まで運ぶときに使用する専用自動車」を指すことが一般的です。

 霊柩車の起源はアメリカと言われ、1903年にはアメリカの葬儀社の広告に霊柩車が登場しています。その後、1905年にフランスで行われたパリモーターショーで初めて霊柩車が出品されました。それをきっかけに霊柩車の認知度も徐々に高まり、いまでは葬儀においてはなくてはならない存在となっています。

 霊柩車には複数のタイプがありますが、霊柩車ときいてまず思い浮かべることが多いのは「宮型霊柩車」ではないでしょうか。豪華な彫刻や箔が施され、唐破風(からはふ)の屋根を載せたお宮が車体の後方に搭載されているタイプの霊柩車です。かつて土葬が主流であった時代には親族や地域の人々が葬列を組んで歩いて墓地へと亡骸を運びました。これを「野辺送り」といいます。宮型霊柩車の屋根の部分は、野辺送りで遺体を納めた輿(こし)の名残りの1つです。

 霊柩車と寝台車、どちらも運ぶのはご遺体です。ただし霊柩車は葬儀会場などの安置場所から火葬場へ搬送する一方、寝台車は病院などの故人が亡くなった場所から安置場所へと搬送します。

 霊柩車は、時代と共に変化していますので、現在まだまだ「黒以外の色の霊柩車」は普及しきってはいませんが、20~30年後には、色々な色や形をした霊柩車を見かけるようになるかもしれません。