目 次
香典とは
香典袋の水引
(1)香典袋の水引の色について
(2)「結び切り」とは
香典袋を書く筆記用具
香典の外袋の書き方
香典の内袋の書き方
連名で出す場合の書き方
香典袋を書く筆記用具
宗教・宗派別の香典袋の書き方
(1)仏教の場合
(2)キリスト教の場合
(3)神教の場合
(4)宗教・宗派が分からない場合
香典の金額の相場
(1)身内の場合
(2)知人・友人・近所の場合
(3)職場・取引先の場合
(4)香典袋へお金の入れ方と注意点
香典の渡し方のマナー
(1)袱紗とは
(2)香典を渡すタイミング
(3)香典の差し出し方
香典とは故人のご霊前に供えるお花やお線香に代わる金銭などのことです。香典はお通夜、ご葬儀の時に香典袋(不祝儀袋)に入れて渡します。香典袋は一般的にコンビニや文具店、スーパー、ホームセンター、ドラッグストア、100円均一店など様々なお店で購入できます。もしもの時に慌てないように家に予め何枚か用意しておくと良いかもしれません。
今回のコラムは香典袋の書き方や渡し方のナマーなどについて解説いたします。
水引きの色は黒色に近いほど悲しみを表し、弔辞に用いられ、金色に近いほど喜びを表し、慶事に用いられます。弔事に使用する水引の適切な色は、宗教や宗派を問わず「黒白」です。
水引を固結びにしたものを「結び切り」といいます。一度結ぶとなかなかほどけないため「繰り返しを避けたい」、「繰り返しを避ける」という意味で弔事にも用いられます。
香典袋の表書きを書く際は、毛筆または筆ペンを使って「薄墨」で書くことが基本です。薄墨とは、その名の通り薄い墨を用いたもので、故人に対して悲しみを表すと言われています。最近では薄墨の筆ペンやサインペンも弔事用に販売されています。しかし、急な訃報で薄墨のペンが用意できない場合は通常のサインペンを使用して書いても問題はありません。ただし、インクの色は黒色を使用しましょう。また、香典の中袋は、毛筆ではなくボールペンで書きます。受け取った方が読みやすいように丁寧に書きましょう。
香典の外袋の表面上段には「表書き」を書きます。表書きとは、「御霊前(ごれいぜん)」や「御仏前(ごぶつぜん)」など、香典を贈る際の名目のことです。表書きは宗教や宗派によって異なります。例えば仏式の通夜、葬儀では、「御霊前」と書きます。
表面の下段には自分の名前をフルネームで書きます。自分1人で香典を出す場合は、自分の名前のみを記載します。会社として香典を出す場合は、会社名、肩書を名前の右側に小さめに書きます。
中袋の表面には、金額を縦書きで袋の中心に書きます。中袋によっては金額を記入する欄が横書きになっているタイプもあります。そのような場合は、そのまま横書きで金額を書き入れても差し支えありません。また、香典の金額を書く際は、基本的には大字(旧字体の漢数字 壱・弐・参など)を使っていますが、略式の漢数字(一、二、三など)を使用してもマナー違反にはなりません。
中袋の裏面(裏側)には郵便番号、住所、名前(フルネーム)を記載します。書く場所は、袋の中心から左下側に書きます。
香典を何人かでまとめて出したり、会社組織で出したりする場合、香典袋の表面に記載する名前は3名までです。4名以上で香典を出す場合は、表書きには「団体名+一同」とするか、「団体名+代表者名+他一同(他〇名)」と書きます。
浄土真宗以外の仏教の葬儀の際、香典の表書きは「御霊前(ごれいぜん)」と書きます。浄土真宗の場合は、臨終と同じタイミングで成仏するという思想を持つため「御仏前(ごぶつぜん)」と書きます。また四十九日法要からは、浄土真宗も含め全ての宗派で「御仏前」又は、「ご佛前」と書きます。
・葬儀の際・・・「御霊前」「御香典」「御香料」
・四十九日以前・・・「御霊前」
・四十九日以後・・・「御仏前」
※浄土真宗は葬儀、四十九日前後すべて「御仏前」
カトリックとプロテスタントで書き方が異なります。カトリックでは葬儀でミサが開かれるため「御ミサ料」がよく使われます。または、「献花料(けんかりょう)」、「御花料(おはなりょう)」と書きます。プロテスタントでは「献花料」、「御花料」、「弔慰料(ちょういりょう)」と書きます。
・カトリック・・・「御ミサ料」「献花料」「御花料」
・プロテスタント・・・「献花料」 「御花料」「弔慰料」
「御玉串料(おたまぐしりょう)」「御神前(ごしんぜん)」「御榊料(おさかきりょう)」と書きます。
宗教・宗派が事前に分からない場合の書き方としては「御香典」や「御香料」と凡用性の高い名目を書くのが良いでしょう。
香典の金額は自分の年齢や故人との間柄によって変わります。香典金額について参考までに目安となる金額を記載いたします。あくまでも目安ですので、個人的な関係性を考慮したり、一緒に葬儀に参列する方と相談したりして金額を決めると良いでしょう。
【両親】
・20代:3万~10万円
・30~40代:5万~10万円
・50代~60代:10万円
が一般的な相場となります。
旦那様や奥さんといった配偶者の父母(義理の父母)の場合も同額です。
【祖父母】
・20代:1万円
・30代~40代:1万~5万円
・50代~60代:5万円
【兄弟/姉妹】
・20代:3万~5万円
・30代:5万円
・40代~60代:5万円
【叔父・叔母】
・20代:1万円
・30代:1万~3万円
・40代~60代:3万円
【遠縁の親戚】
・年齢に関係なく5千~1万円
※ただし自分が喪主であったり葬儀費用を負担したりするときは、香典を包む必要はありません。
・20代:3千~5千円
・30代~40代:3千~1万円
・50代~60代:1万円
※とても親しい間柄の場合は、年齢に関係なく1万円以上を包むこともあります。
【上司】
・20代:5千円
・30代:5千~1万円
・40~60代:1万円以上
【同僚】
・20代:5千円
・30代:5千~1万円
・40~60代:1万円以上
※職場の人たちと連名で香典を包む場合は、皆で相談した上で決めると良いでしょう。
香典袋へのお札の入れ方は袋の「表側」に対して、お札が「裏側」となるようにし、香典袋の底側にお札の「下」がくるように入れます。お札は人物が描かれてある方が表、人物が描かれていない方が裏となり、お札の「上下」については表側を縦に置いた時に左側に数字が記されている方が「上」になります。
お札を裏側して入れるのは、香典はお悔やみなので「顔」を伏せるという意味が込められているという説があります。
香典袋に中袋が付いていない場合は、直接香典袋にお札を入れます。中袋が付いていないからといって、失礼にあたるということはないのでご安心ください。
また、お札ですが新札は避けて普通のお札を入れます。新札は不幸を予想してあらかじめ用意していたように感じ取られてしまうからです。反対にシワが多かったり汚れていたり、ボロボロのお札も礼儀に欠けてしまうので使用を避けるのがマナーです。
袱紗(ふくさ)とは、ご祝儀や御香典を包むのし袋・金封を包む布のことです。様々な色の袱紗が販売されていますが、通夜・葬儀などお悔やみの席では悲しみの気持ちを表現する、黒、グレー、紺色など控えめな色が適しています。
袱紗の種類は大きく分けて「包むタイプ」と「挟むタイプ」の2つがあります。包むタイプの袱紗には、「風呂敷タイプ」「爪付きタイプ」「台付きタイプ」があり、爪と台がどちらも付いているものもあります。挟むタイプの袱紗は、ポケットが付いたもので「金封袱紗」と呼ばれています。どのタイプを使ってもマナー上、問題はありません。しかし、元々は一枚布として貴重品や贈答品に掛けられていたこともあり、風呂敷タイプの袱紗が格式の高いものとされています。
急なことで袱紗を用意することが出来ない場合は、ハンカチや風呂敷で代用しても良いでしょう。ただし、お悔やみ事ですから、控えめな色の物を使いましょう。
ご遺族が香典を辞退するケースも多々有りますので、香典を差し上げるかどうか迷った時は遺族にご意向を尋ねましょう。香典を遺族に渡すタイミングは、通夜もしくは葬式・告別式に持参し受付で渡します。
急な訃報で、通夜では香典を持参出来ないこともあると思います。その場合は葬式・告別式でお渡しすれば先方に対して失礼にはなりません。
また、最近では家族だけで葬儀を執り行う「家族葬」が増え、葬儀が行われたことそのものを知らなかったという場合もあります。こういうケースで、香典を渡す際には必ず遺族に連絡を取り、伺ってもよいか確認することが大切です。香典を受け取ってもらえる事が分かったら日時を決めて弔問します。
基本的に香典は直接手渡しするのがマナーです。ただし遠方に住んでいるなどの諸事情によりどうしても伺うことが出来ない場合は郵送でも構いません。郵便局に行き、不祝儀袋が収まる大きさの現金書留の封筒を購入して送ります。
香典の差し出し方にも一般的な作法があります。5つの手順に分けて説明します。
①受付で芳名帳に記帳する。
②右の掌に袱紗を置き、左手で袱紗を開いて不祝儀袋を取り出す。
③素早く袱紗を畳み、袱紗の上の不祝儀袋を置く。
④渡す時は、相手の方から自分の名前が読めるように向きを変える。
⑤「この度はご愁傷様です」「この度は突然のことでお悔やみ申し上げます」などお悔やみの言葉を述べる。
以上のような手順になります。
なお、「ご冥福」という言葉は、浄土真宗では使わないので、注意が必要です。
また、自宅葬や小規模の葬儀で受付が無い場合は、ご遺族に直接渡すほか、直接祭壇にお供えする場合もあります。