「霊柩車」にまつわる風習について


 いつからか「霊柩車を見かけたら、親指を隠さないと親の死に目に会えない」という話があります。

親の最期の場に間に合わない、親が早くに連れていかれるなどの縁起悪い意味がありますが、所謂迷信にあたるものであり科学的根拠がないとされています。

 何故親指を隠すのかの諸説は様々ですが、古来より穢れは親指から入ってくるとされていて親指を隠すことでそれを防ぐというものがありました。また、叉手という中国からの礼法を取り入れて、死や穢れに対する畏怖の念を表したという説もあります。

 しかし、それとは真逆に「霊柩車を見かけたら縁起が良い」という言い伝えもあります。「一つ失えば、一つ得る」という諸説を踏まえて、霊柩車という縁起の悪いと連想されるものを見れば、その後運は上昇する、という見方があるそうです。霊柩車を見た後にギャンブルをする話を聞くように、物事を前向きに捉える方が気持ちも明るくなる方もいるでしょう。

 他には、霊柩車のクラクションを鳴らすことや、行きと帰り道を変えることなど霊柩車にまつわる風習は全国的にも様々あります。

 このように昔から伝わってきた風習は、今では迷信だとされていても無視はできないものでもあると言えます。それは先祖代々受け継がれた風習を無碍には出来ない人間の性質からきています。かといって全てが正しい話だとは限りませんので、ルーツを知って自分自身で解釈するのも大事だと考えます。